退職していくのはいつも優秀な人ばかり
会社を去る若手が増えてきてどんどん仕事が降ってくる
将来有望な若手や優秀な中堅社員、つまり、まともな人ほど相次いで辞めていく。このような閉塞感を感じませんか。
総務省統計局の労働力調査によると、転職者数は近年増加傾向が続き、2019年には351万人と初めて350万人を超えました。
比較できる2002年以降で最多です
まともな人ほど辞めていくのは、会社の将来性が見えなかったり、成長していく自分の姿が思い描けないから。
残された社員はそういう環境の下、人が減ることによって増える仕事を続けることになりかねません。
仕事が増えれば、残業がかさなり、疲弊して会社を辞めていく社員が相次ぎます。そしてまた仕事が増える悪循環に陥ります。
そうした環境から抜けるには転職や異動を希望するのがもっとも早いのです。
ただ僕もブラック労働を強いる職場を辞めて転職した経験があるので分かりますが、毎日忙しい中で行動に移すには相当な決意が必要です。
周囲を見渡すと、辞めていく人は、会社を変えてもやっていける有能な人ばかり。そうした人たちが去った後の職場でどう動くか。この記事ではまともな人が辞める理由や辞めた後の対処法を解説していきます。
まずは置かれた状況を把握して戦略的に動きましょう。本記事が閉そく感を打ち破るきっかけになればうれしいです。
- まともな人が辞める理由は「給料が低い」「自分の力を活かせない」「働き方が古い」「会社に将来性がない」から
- まともな人の頭の中には「転職を重く考えすぎない」「会社に依存するべきではない」「もっとよい環境が必ずある」という考えがある
- 残された人が業務が増えたときの対策は「見える化」「相談機関に連絡」「スキルアップを意識」「辞めにくくなる前に転職」
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まともな人ほど辞める理由8つ
まともな人ほど辞めていく。労働環境が良いとは言えない会社でよく聞く話題です。
産労総合研究所の「2022年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート」によると、入社する企業でどれくらい働きたいかを尋ねたところ、「できるだけ長く」が47%と最も多い回答でした。
「入社後の勤続予定」 出典:産労総合研究所
見直されつつあるといっても、日本特有の終身雇用制はまだまだ主流。学生側としても、できるなら同じ職場で長く働きたいと思う人は多いですよね。
それなのに転職者が増え続けているのは閉塞感がぬぐえないからです。どうして優秀な人から会社を去っていくのか。その理由をまとめました。
- 給料が低い
- 自分の力を活かせない
- 評価方法に不満がある
- 人間関係が悪い
- 優秀なので仕事を振られがち
- 職場の働き方が古い
- 会社に将来性がない
- 経営者に見切りをつける
ひとつずつ解説します。
理由1 給料が低い
パーソルキャリアが運営する大手転職エージェント「doda(デューダ)」が行った転職理由ランキングによると、転職理由のトップは「給与が低い・昇給が見込めない」で35%を占めました。
自分の働きに見合った給料が貰えていない
生活や将来のために働いているわけですから、有能な人ほど高い給料が貰えないと不満は募るばかりですよね。
有能な人がよりよい給料を求めて会社を去る
業績が落ちる
残った人の給料が下がる
退職者が増える
業績が落ちる
残った人の給料が下がる
負のスパイラルが続いていきます
理由2 自分の力を活かせない
産労総合研究所の「2022年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート」では、最終的な就職先の決め手となった理由を聞いた質問(複数回答)の上位回答は以下のようになっています。
1 自分の能力・個性を活かせそうだから 58%
2 成長ができそうだから 49%
3 仕事が楽しそうだから 47%
ただ働いて給料をもらうだけでなく、自分の能力を伸ばすきっかけにもしていきたい。職場でそんなことができたら最高ですよね。
でも実際に働いてみると自分の個性は発揮できそうにないし、成長も見込めそうにない。
このような状態になると落胆して新しい勤務先を探しはじめる人が出ても不思議ではありませんよね。
理由3 評価方法に不満がある
なぜあの人が高く評価されて自分の給料は変わらないの?
こっちの部署の方が難しい仕事をやってるのに他部署の同期が先に昇格した
会社にいるとこのように自分の評価を不満に思う人があちこちにいます。
あなたの会社の評価基準は明確でしょうか。
上司のお気に入りだからという理由で昇格していく会社ではないか。しっかり見極めていきたいですね。
私は27歳女性会社員です。会社の人事評価(評価シート)って、納得出来ませんよね。どんなに真面目に仕事を頑張っても、絶対、上司の好き嫌いが反映されると思います。〜中略〜なぜあの2つの点数が低かったのか、私のどういうところがダメだったのかを面と向かって話してもらわないと評価シートの意味が無いと思うんです。人が人を評価するのはいい加減やめて欲しいと思いませんか?ロボットとかAIに公平に評価して欲しいです。
Yahoo!知恵袋
総合人事・人財サービスのアデコ株式会社が働く人を対象に2018年に行った「人事評価制度」に関するアンケート調査(https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2018/0618)では、回答した6割以上が人事評価制度を不満に思っており、理由は「評価基準が不明確」が最多でした。
結果で興味深いのは、8割ほどが会社の評価制度の見直しが必要と考えている一方で、評価する上司側は約8割が自分の評価は適切だと思っていることです。
このギャップの大きさが、優秀な人が辞めていく要因になっているのかもしれないですね
理由4 人間関係が悪い
仕事が忙しく、ストレスがたまる状況でも、先輩や後輩などに恵まれれば乗り切れることが多いはず。
でも、仕事以外にもぎくしゃくした人間関係でムダに疲弊する環境ならどうなるか。
辞めたくなりますよね。
日本労働調査組合が行った「職場の人間関係に関するアンケート」によると、約3割の人が職場の人間関係についてストレスを感じたり、悩んだりしています。
仕事ができる真面目でまともな人ほど、社内の面倒な人間関係に悩むことを時間のムダに感じて辞めていくのです。
理由5 優秀なので仕事を振られがち
まともな人ほど真面目で優しく、周囲に気配りができる人が多いので、仕事を振られがちになります。
仕事で困っているのですが、自分にばかり業務が偏ってる場合どうすれば良いのでしょうか? 明らかに残業時間が偏っているのに、何も措置がとってもらえず体力的に限界になりそうです。
Yahoo!知恵袋
仕事が速く安定している人に上司は仕事を多く振ってくるもの。頼みやすいし、まともな人は優しく気配りもできるので引き受けてくれると考えてしまうのです。
その結果、仕事を引き受けた人は残業が増え、自分の時間を確保しにくくなってストレスがたまります。いずれもともとあった仕事にも影響がでるでしょう。
僕は何年も現場をとりまとめる立場を経験してきましたが、仕事の振り方には本当に気を使いました。気持ちよく仕事を頼むことができて、しかも期待通りかそれ以上の成果をあげてくれる人は限られますよね。
仕事はどうしても能力がある人材に偏ります
それでは組織の意味がなくなってしまいますが、現実問題としてできる人に仕事が偏りがちなので、「まともな人ほど辞めていく」という事態になるのです。
理由6 職場の働き方が古い
古くさい働き方も、まともな人ほど辞めていく要因です。
- よく働く人ほど高い給料をもらえる
- 有給休暇はしっかりとれる
- 飲み会を強制されない
- 自由に在宅勤務可能
- 残業ゼロ
令和の時代、このような働き方の会社は人気になって当然です。
でも現実には、残業や休日出勤は当たり前、リモートワークができるのになぜか出社を求められる……。こんな職場は多いのではないでようか。
株式会社SheepDogが運営するサイト「STRATE(ストラテ)」が2021年6月に公表した「給与の満足度に関するアンケート」によると、正社員の84%が給与に不満があり、5割強が50,000円以上の給与アップを希望しているとの結果がでました。
懸命に働く有能な人ほど、自分の能力に見合った給料を得て効率的に働ける環境を求めて動きます。
残る人だって疑問を感じているはずなのに、できる人は行動が早いんですよね。
理由7 会社に将来性がない
現時点の給与に満足していたり、職場の人間関係に問題がなかったりする場合でも、会社自体に将来性が見えなければ、まともな人が辞めていく要因になります。
逆に働く環境や人間関係などに不満があっても、急成長していたり、これから伸びることが確実な会社なら、自分のスキルや実績を積み上げる目的で辞めない選択肢も十分あります。
有能な人が辞めていくということは、残っていても仕方がないと見切りをつけているからです。
いまの社会経済情勢であなたの業界や会社は今後どうなるか。身近な優秀な人材が去っていくようなら、じっくり考えてみたいですよね。
理由8 経営者に見切りをつける
まともな人が会社を辞めていくとき、経営者の資質に疑問を持ったことがきっかけの可能性があります。
松下電器産業や本田技研工業、ソニー、トヨタ、ソフトバンク、ニトリ、ファーストリテイリング……。日本を代表する企業の創業者はカリスマ性にあふれています。
しかし、どんな企業もいずれは年齢的な理由で創業者が退き、多くは一般社員から経営陣に上がります。
サラリーマンから経営者になるということは、次の経営者もその次もサラリーマンが経営者になる可能性が高いことを意味しますよね。
出世の道筋が見えてきた人はおのずと役員のおメガネにかなうように努めます。つまり、ごまをすり出すのです。
若いころはエネルギッシュで上司に意見をガンガンぶつけて頼りになる存在だった人も、ある程度出世してくると「上しか見なくなった」と言われていませんか。
後輩の目から見ていると寂しくなってきますよね
そのような先輩たちにあきれ、失望するまともな人が、早いうちに会社を辞めて起業や転職をしようと考えることも十分に考えられます。
辞めていくまともな人が考えていること
会社を辞めることは全くもって簡単なことではありませんよね。とはいえ、閉塞感を抱えたまま働き続けても、ストレスはたまり、自分の大切な時間も奪われてしまいます。
会社を辞めていく人がどのような思考をもっているのか、僕自身の経験や、記者としての取材経験を踏まえて解説します。
転職を重く考えすぎない
昭和や平成初期のころまでは、一つの会社で定年退職するまで働き続けるという考え方は普通でした。
新卒で入社したら、平社員から係長、課長、部長、役員へとステップアップしていくイメージです。出世コースから外れたとしても、定年退職するまで給料は約束され、安心して会社に身を任せることができたのです。
ところが、近年は評価方法に年功序列の意識が薄れています。
能力主義が重視され、社内でも後輩だった人が上司になることが当たり前。自分の能力を生かせる場所に身を置くために転職する。このような考え方がスタンダードです。
リクナビNEXT(ネクスト)が行った調査によると、「転職することについてポジティブかネガティブか、どちらの印象を持っていますか?」という質問に対し、「ポジティブ」「どちらかといえばポジティブ」とポジティブイメージを持っている人が半数を超えています。
転職というイベントを重く考えすぎないことで活躍するステージが見えてきます
会社に依存するべきではない
終身雇用制が当たり前だった時代は過ぎ去り、会社に依存せず、自立を求められる時代になっています。
定年退職まで働くつもりだったのにリストラに伴う人員削減で退職を余儀なくされることも普通といえる状況です。
大手企業では早期退職制度が普及し、45歳以上を対象にする動きも目立ってきています。
2021年9月には新浪剛史・リーホールディングス社長が「45歳定年制」を提唱し、波紋を広げました。
45歳をひとつの節目とし、自分のスキルを見直して稼ぎ続けるための学び直しを進めるべきだとの真意も語られています。
ただ、企業側が従来の日本的経営から転換しようとしているのは明らか。会社を辞めていく人たちはこうした動きを読み、スキルアップを目指しているのです。
もっと良い環境があると確信している
転職に対して抵抗感がない理由のひとつは、SNSや新聞、雑誌などを通じて情報収集を積極的に行っているからです。
- 世の中の人はどれほど給料をもらっているのか
- 一般的な残業時間はどれほどか
- 自分の経歴やスキルだとどれほどの給与をもらえるのか
- これから伸びる業界・会社はどこなのか
こうした知識を得たうえで、いまの環境よりもより会社があると確信しているから行動にうつすのです。
専門のアドバイザーに相談しながら自分のスキルを見つめ直せる転職エージェントは利用も登録も無料です。アンテナを張って情報収集も進めましょう。
まともな人ほど辞めることを促す早期退職制度の功罪
有能な社員が退職していくケースはいろいろありますが、割増退職金が支払われることを前提とした早期退職制度がきっかけになって辞めていくことも多いのではないでしょうか。
早期退職金制度を導入する企業は増えています。2020年以降に45歳以上を対象に実施を表明した企業だけでも、大和ハウス工業や近畿日本鉄道、カシオ計算機、三菱自動車、サッポロビールなど有名企業が並びます。
会社側としては、賃金が高い層の人件費を長期的に削減できること、中高年の比重が高い年齢構成を是正して若返りを図ることなどがメリットになりますよね。
ただ、実際はどうでしょうか。
会社側が今後も働いてほしいと思っているような有能な人ほど、転職先に困らず、起業家精神もあります。優秀な人ほど去っていくのは容易に想像できます。
まともな人ほど辞めるていくと残った人はどうなる
業務が滞る
優秀な人が退職した後の職場は、その人に代わる有能な社員が配属されてこない限り、業務が滞ったり、営業成績が低下します。
再び優秀な人がチームに入ってくれればいいですが、人手不足の業界ではそもそも欠員補充がない可能性だってありますよね。
業務が滞ると会社上層部からの当該部署への見方が厳しくなります。
残された人の負担が重くなる事態には注意が必要です
人間関係が悪化する
優秀な人がいなくなると、業務が滞ったり、営業成績が低下する。すると社員の間にストレスが充満します。
自分の仕事は増えているのにその部署の業績が低下したり、業務が滞ったりすると、他部署や上司からの視線が厳しくなります。
ギスギスした人間関係が増えて、雰囲気が悪い職場になりがちですよね。
退職者が増える
雰囲気が悪くなる結果として、社員の間に不安感が募ります。
このままこの会社にい続けて将来が描けるだろうか
仕事がもっと増えてきたらどうしよう
辞めていく人が増えそうだな
このような状態になると雪崩を打つように退職する人が後を絶たなくなる恐れもあります。
まともな人が辞めた後に残された人の対処法は
まともな人が辞めていった後に残った人はどのようにするべきかを考えていきましょう。
業務量が増えたら見える化して共有
人が減って自分の仕事が増えてきたら、業務の見える化を従来以上に心がけてください。
見える化は自分が取り組んでいる仕事の内容や進捗状況を上司や同僚にも分らせることです。
自分がこれまでやっていた仕事、新たに増えた仕事を改めて整理します。行っている業務の頻度や時間、内容、関係者などをまとめます。
まとめたものを上司や同僚と共有することで、組織全体で効率的に動ける可能性が出てきますよ。
ただ、難点は共有された情報を生かすも殺すも上司次第の面が強いこと。理解ある上司ならいいですが、「そんなこと意味あるの」といわれることも考えられるのが難点です。
ブラック労働になってきたら相談機関に連絡
業務効率を上げようとしても周囲が協力してくれない、あるいはそれ以上に仕事が降ってきてとても追いつかない。
このような状況で残業が増え続けるようなら、まずは厚生労働省の「総合労働相談コーナー」などに相談する方法があります。
総合労働相談コーナーは全国各地に窓口があり、予約も相談料も不要です。また、社内に設置されていれば、労働組合に相談するのもよいでしょう。
スキルアップを意識する
優秀な人が相次いでやめていく組織は閉塞感に包まれているかもしれません。
そのようなときは周囲の雰囲気に流されることなく、自分のスキルアップに時間を使うべきです。
プログラミングやWebデザイン、英語や会計知識など、今の仕事の延長にあるならそのまま伸ばせばいいし、本業とは関係のない分野に興味があるなら、転職活動で生かすために学び始めるのも手段です。
優秀な人がやめていくのはその業界や会社の未来が危ういからかもしれません。個人で稼ぐ力を身につけるためにも、知識や技術を磨く努力は続けたいところです。
辞めにくくなる前に転職を検討
まともな人が辞めだすと、オレも私もと後に続く人がどんどん出てくるかもしれません。残された人は周囲からの「君は辞めないよね」という雰囲気にのまれ、身動きができなくなる恐れもあります。
スキルを磨きながら、転職を意識するのがベターです。
人手不足で心身ともに疲れて転職に向けた情報収集をする心の余裕がなっなることもあり得ます。
そうなる前に登録も利用も無料の転職サイトや転職エージェントに登録して情報を集めておくのがおすすめです。
転職サイトは自ら求人企業を探す方式で自分の都合に合わせて利用できるのがメリット。
転職エージェントはアドバイザーが適職や経歴に応じて相談に乗ってくれながら転職先を探せるサービスで、二人三脚で活動をすすめます。
ともに求人数も多く安心できる大手の利用がベスト。転職サイトならリクナビNEXT、エージェントならリクルートエージェントが最適です。
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まとめ:まともな人が辞めるのは突然です
有能な人は会社をスムーズに辞めるためにも転職活動をごくごく内密に進めます。このため、周囲が気が付くときには転職先を決め、明るく辞めていく人が多いでしょう。
突然、頼りになる優秀な人が去り、残された人たちが職場で疲弊していく。そんな光景は辛すぎます。
僕ならきっと辞めていく人のことをうらやましく思います。実際に僕は銀行を去るとき、10歳ほど年の離れた仲の良い先輩から「泥船からうまくにげたな」と言われたことを鮮明に覚えています。
嫌みではなかったのですが、そのような感情になる組織は危険ですよね
多すぎる残業や休日出勤を当たり前にさせる会社ではっきりしているのは、経営者は社員が期待するほど社員のことを思っていないということです。
日本の雇用形態は長く、年功序列と終身雇用で支えられてきました。若いころに低賃金で働いてもらって中高年に賃金を急上昇させて一生会社に尽くさせる仕組みです。
でも早期退職制度を導入する経営者の心理を端的に言えば、年収が高い中高年には早く辞めてほしいということ。これは40代、50代だけでなく、30代もそう遠くない未来に待っている現実。いつでも辞められる準備をしておく。今はそんな時代です。
以上です。どうもありがとうございました!