プロパーばかり昇進してく
よそ者扱いされてばっかり
変な独自ルールが多いなあ
中途入社した人が抱えるこんな不満や悩みをスッキリさせる記事を書きました。
少子高齢化が進む中でもはや中途採用は当たり前の時代です。
リクルートワークス研究所が公表した中途採用実態調査によると、中途採用活動を実施した割合は増加傾向にあります。
一方で、中途入社した人に対して株式会社「識学」が行った中途採用に関する調査では、転職した後に「こんなはずではなかった」と感じたことがある人が7割もいるのです。
転職で入社してから後悔したことを聞いた質問では「組織の風土・文化が合わない」が48.2%とほぼ半数に達しています。
中途採用者を積極的に採る動きは出ているものの、職場ではよそ者扱いして冷遇する風土が根強いのが実態です。
僕も転職後に勤続年数で上下関係が決まる風土にはショックを受けました。でも、ライターとしての取材を通して知った企業でも、やはり社歴が重視されていることが少なくありません
人手不足が今後も続く中で、プロパー社員を厚遇して勤続年数が長い方を昇進させたり高い評価を与えたりする会社は、はっきりいって成長が期待できません。
この記事では中途採用者を冷遇する会社の特徴やその理由、そして自分がそのような組織に入った場合の対策を解説します。
- 中途採用者を冷遇する会社の特徴は「根強い年功序列」「内向き志向」
- プロパーを厚遇する理由は「既得権を守りたい」「変化を嫌う」から
- 中途入社する人を冷遇する会社は「退職者が増える」「成長できない」
- そんな組織に入ったら「積極的なコミュニケーション」「実績を積み上げる」
あまりに冷遇がひどい、または、実績を積み上げても自分のためにならないと感じる場合は転職活動に踏み出します。
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中途採用者を冷遇する会社の特徴
さきほど、転職してから後悔したことを聞いた質問で、「組織の風土・文化が合わない」と答えた人がほぼ半数に上るということを紹介しました。
風土や文化が合わないということは、かなりの割合の人が転職先で冷遇される可能性があるということです。
冷遇するような組織はなんとしても避けたいですよね。ここでは中途採用者を冷遇する会社の特徴を紹介します。
- 自社しか使えない謎の独自ルールがある
- 年功序列の人事制度を採用している
- 内向きで根回しを重視する
- 放任主義の度が過ぎる
ひとつずつ見ていきましょう。
自社しか使えない謎の独自ルールがある
中途採用を冷遇する会社の特徴としてまず挙げられるのは、自社でしか通じない謎の独自ルールがあることです。
勤務時間や休日制度、稟議書や企画書の書き方など、会社それぞれにルールはあるのが普通です。
しかし、どう考えても不合理な独自ルールもあったりします。
たとえば、ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が実施した職場での「謎ルール」に関するアンケート調査では以下の謎ルールが取り上げられています。
- 仕事が終わっているのに、上司の仕事が終わっていないと帰れない
- 関連会社から送られてくる郵便を郵便ボックスから各個人に配る担当が、何故か女性社員と決まっている
- インフルエンザで休むのは年次有給休暇となり、年次有給休暇がない場合は、ボーナスが支給されなくなる
- 出社時間より30分早く来なければならない
- 9:00~18:00が定時勤務だが、残業が計算されるのは19:00~となり、謎の1時間空残業がある
どれもほんとに謎ですね
ちなみに僕が20代のころ勤めていた職場では、残業は月100時間を超えていましたが、なぜか手当てが出るのは20時間までと決められていました。
当時は残業代が出るだけマシだと思いましたが、やった分だけ貰える会社に転職して衝撃を受けた記憶が残ります。
ずっとその職場にいると違和感を感じなくなりますが、謎ルールがずっと残るのは他の意見を取り入れないから。中途入社の人が冷遇される土壌ができ上がっているということです。
年功序列の人事制度を採用している
年功序列の人事制度が色濃いことも、中途採用を冷遇する会社の特徴です。勤続期間や年齢が高い人を厚遇するのだから当然、ということになります。
人材を中途採用するのは、社会人としての知識、あるいはその業務の経験を積んでいることを期待してこそです。
それなのに年功序列の制度を堅持する会社は、中途採用を新入社員と似たような1人の社員としか見ていないことになります。
佐藤さん(40歳) 新卒で入社して勤続18年
鈴木さん(40歳) 中途入社して勤続5年
もし中途採用した鈴木さんの方が営業成績が上でリーダーシップもあるのに、社歴が長い佐藤さんが先に昇進する会社なら、中途入社の社員はやる気を失いますよね。
根回しを重視しすぎる
中途採用者が冷遇される会社のもうひとつの特徴は、根回しを重視しすぎる風土がある会社です。
たとえば会議の場で突然、反対論や批判を展開した場合。いきなり場の空気がしらけだしたり、意見があっさり却下されたり、司会役が「やめてくれ」と言いたげな表情を浮かべたりすることがありませんか。
意見を円滑に通す、会議をスムーズに終わらすには根回しはたいせつです。でも度を過ぎると内向きな組織になってしまいます。
内向きとはつまり、コミュニケーションを取りにくい、風通しが悪い組織です。
中途入社してきた人は、最初はだれでも「よそ者」。よそ者が馴染むにはコミュニケーションが不可欠ですよね。
それなのに、仕事をする上で上司や担当者、部署同士の根回しがもっとも重視されるような風通しが悪い会社だったらどうでしょう。
よそ者は十分に実力を発揮できません。
放任主義の度が過ぎる
中途入社してくる社員は、新卒の新入社員と異なり、社会人経験や業務経験を買われて入社してきます。いわゆる即戦力として期待されているのです。
とはいえ、会社独自の仕事の進め方に関する知識や、上司・同僚、取引先との人間関係といったものは新入社員と同じくまっさらの状態がほとんど。
どんなひとでも少なからず不安はあります
手取り足取りとまではいかなくても、慣れるまでは伴走する人や教育は必要です。
中途採用者向けの研修や説明会などがなく「後はよろしく」といった過度の放置プレイを施す会社は、中途採用者を冷遇しているといえます。
中途採用者を冷遇してプロパーを厚遇する理由
中途採用した人を冷遇する会社の特徴を見たところで、今度は中途採用者を冷遇してプロパーを厚遇評価する理由を確認します。
プロパーを厚遇する理由は
- 変化を嫌うため
- 既得権を守るため
- 信用してないため
です。ひとつずつみていきます。
変化が嫌う風土があるため
プロパー社員を厚遇するのは、変化を嫌う風土がその会社に根強いからです。
これまでの仕事のやり方、社内で築いた人間関係や序列など。そこの居心地がいいと感じている人が多いと、変化を避けるために新入社員から長く働き、かってを知っている人を厚遇するようになります。
変化を嫌う職場では新しいことへのチャレンジは期待しにくいものです。
プロパーの既得権を守るため
プロパー社員を厚遇するのは既得権を守るためです。
そもそもプロパー(proper)という言葉自体、「正しい」「ちゃんとした」「正当の」という意味があります。このような言葉を平気で使う会社なら中途採用者が冷遇されるのもうなずけます。
〇年入社といったように新入社員は同期としてひとくくりにされます。若いうちから手厚く教育され、仲間意識を醸成していくのも、会社がプロパーに既得権を与え、従順に飼いならそうとしているために重要な要素です。
新卒者は幹部候補生として企業が一から教育して育ててきた人ともいえます。これにより年功序列の考えがいつまでも抜けず、プロパー同士の既得権を守ろうと、中途採用者が冷遇する状態が続くわけです。
社員を信用していないため
高い成果やマジメな勤務、従順な姿勢は会社や上司が心の中で期待しているものです。
- きっと期待通りの仕事はしない
- 嫌になったらすぐ辞めるはず
- 会社への批判ばかりする
こんな風に会社がそもそも社員を信用していない場合、中途採用者を冷遇してプロパー社員を厚遇する動機になります。
なるべく会社に従順で、長時間勤務も辞さず、売り上げに直結する仕事をバリバリこなす人がほしいに決まっています。
ところがそんな人材はとても貴重なのでなかなか入社してきません。中途採用者が入ってきてもそもそも信用していないので、プロパー社員をしっかり教育して厚遇していこうということになります。
中途採用で冷遇されたときの対処法
中途採用された職場で冷遇されそう、あるいは冷遇されている場合、どのように対応するのがいいのかをまとめました。
「うまく立ち回る」ことがスムーズに馴染むコツ。しかし前職の環境に納得がいかずに転職したという人もいるでしょう。
立ち回るコツを試したけどやはり厳しいとか、中途採用しておいて冷遇するような会社に未練はない、という人は転職も選択肢になります。
積極的にコミュニケーションをとる
中途入社した場合に職場で良好な関係を築くには、コミュニケーションを積極的にとることが有効です。
自分を認知してもらうことで馴染んでいけるからです。
とはいえ、だれとでも積極的にコミュニケーションを図っていては疲れ果ててしまいます。そのような場合は、
- 中心人物を見定めて接する
- あいさつを欠かさない
- 常に笑顔で明るく
- 名前を覚える
ということを意識してはどうでしょうか。
中心人物を見定めるというのは「こびる」という意味ではありません。中心人物とコミュニケーションを図ることで職場内にすばやくなじめるようにするためです。
あいさつを欠かさず、明るくしていることで相手からも話しかけやすく思ってもらえる効果もあります。
真摯に実績を積み上げる
コミュニケーションを上手にとっていくのと同時にひたすら実績を積み上げるのがたいせつです。
あるいは人見知りなどでコミュニケーションを図るのが不得意な人でも、黙々と仕事に打ち込み、実績を示すことで周囲の見る目が変わる可能性があります。
冷遇されていると感じていると意欲を失いがちですが、自分の価値を思い出し、努力を続けることが大切です。
黙って目標に向かってコツコツ努力を続けることで、実績が上がり、周囲に認められるきっかけにもなります。焦りは禁物です。
「職場は自分のスキルを上げる場」という割り切りも有効です
独自ルールを理解する
新しい職場では、仕事の進め方やルールが変わるのはやむを得ません。前職での経験や自分の常識と異なるルールがあった場合には受け入れがたいものがあるかもしれないですよね。
最初はぐっとこらえて、人に教わったりマニュアルを読み込んだりして仕事のやり方とルールを覚えます。
「前の職場では」という話をいきなり持ち出すのは控えるのが無難です。よほど懐が深い職場でなければ同僚の反感を買ってしまうだけになります
働いていくうちに職場の文化や人物などを知り、ルールの意味を理解できる可能性が出てくるかもしれません。
新しい仕事を始める前に時間をかけてノウハウを学ぶことは、長い目で見れば大きな収穫となり、より前向きで生産的な経験をすることができます。
転職も視野に入れる
中途採用で冷遇されている状況が改善されなかったり、長く続いている状態なら、転職も選択肢です。
そもそも中途採用を冷遇している会社で働き続けるのは、働く意欲にも成果にも影響が出てしまいます。
よそ者を冷遇しない会社を探すポイントとしては、
- 転職者をたくさん受け入れる会社か
- 勤続年数で昇進・昇給に差がないか
- 役員など幹部に中途採用組がいるか
- 入社後の研修はしっかりしているか
- 離職率が3割以上など高すぎないか
- 平均勤続年数が10年以下など短くないか
以上のようなものがあります。
転職者の扱いに慣れているか。プロパーと差が付く人事制度になっていないか。役員がプロパーで占められていないか。これらは転職エージェントや面接時などに確認できるポイントです。
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まとめ:中途採用を冷遇する会社には縛られない
中途入社して冷遇されるとはなんとも切ない気持ちになります。「だったら中途採用しなきゃいいのに……」と。
かくいう僕も中途入社組。
評価は人間が決める以上、「プロパーだから」「勤続年数が長いから」という理由で昇格が左右されるのを目の当たりにしてきました。
もちろん馴染む努力は大切ですが、必要なのは自分の力を磨くこと。その組織で個人の稼ぐ力を高め、利用してやるくらいの気持ちでいると処遇は気にならなくなります。
経団連は2022年秋、新卒採用以外で使われる中途採用という呼び方を「経験者採用」に改めようという方針を打ち出しました。
「中途」にまつわる負のイメージを消して円滑な人材確保につなげる狙いがあるそうです。転職がもっと一般的になるきっかけとなるか注目していきます。